はじめに:放射線業務支援の手引き

 運動機能等の障害をもち、1 人で何かをすることが難しい人はもちろんのこと、自立(単独で行動や動作の可能な人)している人でも場合によっては介助を必要としている。

 ハンディキャップをもつ人はできるだけ自分で物事をなしとげようとするものだが、それが転倒などの事故の原因になる例も多い。もし、このようなハンディキャップを背負った方がいたら、診療放射線技師をはじめ医療技術者は医療(病院)の場面ばかりではなく、一般社会においてもそうした障害者や高齢者に声をかけ、何らかの手助けをしたいものである。

 そのように、一般社会のなかでは声をかけ手助けが必要とされていることも、医療においては単にそれだけでは済まされない。その場面に応じて適切な判断が求められるばかりか、医療に従事する医療技術者には諸疾患の医学的特徴について知識を身につけ、医学的根拠に基づいた手助けが必要とされる。

 本書では、身体障害のなかでも特に運動障害の分野について、放射線部門のX線撮影室・X-TV・CT 撮影室等において必要と思われる支援対象を個々にとりあげ、基本的な介助などの実際について解説する。各施設・他の場面において本書が何らかのお役にたてれば幸いと思う。