Med.Sci.Report

第13回日本乳癌学会総会
―検診発見乳がんと生検―
大阪厚生年金病院放射線室 竹川 直哉
 第13回日本乳癌学会総会が,2005年6月10〜11日に園尾博司会長(川崎医科大学乳腺甲状腺外科教授)のもと,倉敷市で開催された.会場は倉敷市民会館をメインに,倉敷市芸文館,アイビースクエアなど白壁で有名な美観地区を中心に展開され,学会プログラムとともに風情あふれる町並みを楽しむことができた.
 本学会は「最新診療とコンセンサス」をテーマとして,多数の一般演題,講演,シンポジウム,パネルディスカッション,ランチョンセミナーなど乳がん診療のすべてを網羅する構成であった.この盛りだくさんの内容と約4000名という登録者数とが相まって圧倒されるものがあった.
 マンモグラムの読影能力を再確認する「フィルムリーディング」は従来,所見別にテーマを設けて実施してきたが,今回のテーマは,昨年の乳がん検診の指針の改正によりマンモグラフィが検診の主軸となったことを受けて「検診発見乳がん」であった.読影コーナーでは50症例の読影に長蛇の列ができる盛況ぶりで,また2日目の討論には早朝にもかかわらず多くの参加者があり,関心の高さがうかがえた.検診マンモグラムの読影には,感度も特異度も高い正確な読影力が求められるが,そのためにはまず「読影に適した良い画像」が提供されなければならない.撮影に携わる技師が,より高い意識を持って画像をつくり出す大切さを改めて実感した.
 ランチョンセミナー「マンモトーム生検―保険適用後の使用状況」では,マンモトーム生検実施施設が昨年の保険適用後に急速に増加していることが報告されたが,まだまだ経験数の少ない施設が多い状況である.安全で快適な検査技術の普及と,適正な症例適応が今後の課題といえるであろう.
 近年,乳がんの増加と,乳がん診療や検診に対する社会的な関心が高まっている.最新の診療を実践するとともに,十分なエビデンスに基づいたコンセンサスを得るという本学会の目標が臨床の場で広く実践され,乳がんからの救命とQOLの向上に寄与することを切に願う.

(医療科学通信2006年1号)
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