Med.Sci.Report

第12回胸部CT検診研究会大会
―CTスクリーナー―
倉敷成人病センター放射線部 三宅 浩一
 2005年2月11,12日の2日間,標記大会が岡山県・岡山衛生会館「三木記念ホール」において開催された.
 松井英介(岐阜環境医学研究所)による特別講演は「肺病変の微細構造とX線・CT画像」と題して,肺小病変のX線・CT画像と組織像の対比,現在臨床ならびに検診で使われているCT装置の能力や限界,そして最近開発された顕微鏡CTによる肺既存構造と肺病変の解析について行われた.
 シンポジウム「胸部CT検診の普及」ではCT検診の現状と課題を討議し,今後の方向性やその課題が明らかにされた.胸部CT検診におけるコンピュータ診断支援システムについて,開発と読影双方の立場からの講演も聴くことができ,胸部CT検診による診断の向上には,医師,診療放射線技師,開発技術者の三者の共同が重要であると再認識させられ,たいへん有意義であった.
 胸部CT検診は,装置の進歩とともに今後ますます普及していく分野であると思われるが,精度を落とさずスループットを上げることも要求されている.一般演題で診療放射線技師による一次読影の検討や有効性なども個人的には興味深い内容であった.読影医の負担を考慮すると,すべてコンピュータ診断支援システムに頼るわけにもいかず,マンパワーが必要となる.そこでわれわれ診療放射線技師が,CTスクリーナーという立場で支援するといった動きも示唆された.今大会ではCTスクリーナーの創設に向けての具体的な話はなかったが,近い将来創設され,われわれ診療放射線技師に大きな変革をもたらすことを予感させる大会であった.

(医療科学通信2005年2号)
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