Med.Sci.Report

第14回日本乳癌画像研究会
―画像診断の輪のなかで―
四谷メディカルキューブ画像診断科 松浦 由佳
 2005年2月11,12日の2日間,標記研究会が「非浸潤癌の画像診断」をメインテーマに神奈川県民ホールにて開催された.
 わが国における乳がんの罹患率・死亡率がともに増加の一途をたどっている現在,その傾向に歯止めをかけるべく「乳がんの早期発見」を目指して,乳がん検診の整備・普及が急がれている.ここで,良質な検診による高い救命度の実現のために課題となるものこそ,今回のメインテーマでもある「非浸潤癌」の発見であろう.かつて放射線治療を担当し,多くの乳がん患者と出会うなかで,生存率のみならずQOLの向上のためにもその重要性を痛感していた筆者にとって,今研究会のテーマは非常に興味深いものであった.
 これまで,乳がん画像の一部を担うマンモグラフィに携わる者として,診断に有用な画像の提供を常に目指してきた.しかしながら,マンモグラフィ単独の画像に限界を感じていたのもまた事実である.
 そのようななか,今研究会では,シンポジウム「非浸潤癌の画像診断」に代表されるように,超音波,MRI,病理など,それぞれの立場からの乳がん画像に触れることができた.このほかにも,CTやPETなどさまざまなモダリティのセッションを通じて,広い視野から非浸潤がんの画像を目にすることで,各モダリティの特徴を考慮し,画像を併せて総合的に診断するという,画像診断の原点に改めて気付かされたように思う.と同時に,特定の分野ばかりを追求しがちになっていた自分に,はっとする思いであった.
 近年では,国民の乳がんに対する関心や,医療に対する意識が非常に高まっており,画像をつくり出す者の責任もが問われてくることであろう.自身の反省ともなるが,今後は,誰もが納得しうる画像診断を実践していくためにも,各モダリティが互いの特長を生かし,また,それぞれの弱点を補い合うことで,個々の良質な画像の実現と同時に,乳がん画像全体のレベルアップが図られることが期待される.そしてそれが,乳がん死亡率の低下と乳がん患者のQOL向上に役立つことを切に願う.

(医療科学通信2005年2号)
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