Med.Sci.Report

第20回放射線技師総合学術大会
―国民から見える職業へ―
東京慈恵会医科大学附属柏病院放射線部 松尾 浩一
 平成16年11月3〜6日の日程で,長崎市において第20回放射線技師総合学術大会が開催された.「国民から見える職業へ」をメインテーマに,診療放射線技師が現在,そして将来何をするべきかを社会にアピールした大会であった.
 シンポジウムでは,「医療被ばく低減の実現に向けて」というサブテーマのもと,「医療被ばく記録手帳」の運用方法などについて議論された.われわれが早急に行うべきことは,方法論ではなく国民の医療被ばく低減に向けた具体的な行動である旨の発言が演者よりあり,まず全国どこの施設でも記入できる医療被ばく記録手帳の運用から始めるべきであるとの見解が示された.それは,われわれの意識および対応が重要であることを示唆するものでもあった.
 各分野での発表は,X線系で各モダリティの被ばく管理について,低減のための工夫や線量評価法(測定,推測法)についての発表が多数なされていた.また,線量をコンピュータで計算させるだけではなく,被ばく線量取得表示を病院内システムと連動させることも検討されており,非常に興味深く,時代に合致した新たなる情報開示となる予感がした.当院でも,電子的オーダリングシステムにNDD法の計算を連動させて,検査終了時にトータル線量表示や照射録に印刷ができるようなシステムを構築したいと思った次第である.術者の被ばく管理では,X線防護衣をチェックカードなどにより管理しているとの発表があった.医療被ばくを考えるうえでは,道路運送車両法で定められた自動車検査証のような標識を装着し,定期的に管理することが絶対に必要であると感じた.
 なお,初日の特別講演で,長崎出身の歌手さだまさしさんが,診療放射線技師についての印象について「はきはきとした,無口な人」との興味深い本音を話されていたことが印象深い.この言葉の意味がわかり,自分が変わらなければ,国民に信頼され見える職業人にはなれないだろうと痛感した.また,会場では出席などの入退出が資格カードで管理された,記念すべき大会でもあったことも記しておく.

(医療科学通信2005年1号)
↑このページの先頭へ