Med.Sci.Report

DDW-Japan 2004 Fukuoka
第42回日本消化器集団検診学会大会
第22回部会研究会総会
横浜市立市民病院放射線科 青柳 孝行
 2004年10月21〜24日,福岡において,今村清子(横浜市立市民病院がん検診センター)を会長に,日本消化器集団検診学会の大会および部会研究会総会がそれぞれ開催された.部会研究会総会には胃集団検診に携わる医師,診療放射線技師を中心に全国から330名ほどが集まり,出席者は皆,真新しい木の香りが残る九大医学部百年講堂で各種演題発表や講演,セミナーなどに耳を傾けた.
 近年,内視鏡による消化器検診が注目されているが,今なおX線検査の需要は高く,胃集検の主流でもある.2002年には本学会より,高濃度低粘性バリウムを用いた「新・胃X線撮影法」が提唱され,良質な画像の提供や,適切な病変描出への期待はますます高まっている.
 これに伴い,技師による所見チェックや一次チェック,読影の必要性を唱える声も一層強まっている.今総会での,中原慶太(久留米大学第2内科)による教育講演「撮影技師による一次チェックのポイント」は,その象徴であろう.胃X線形態学を基本とした一次チェックのポイント解説などは,読影医育成,技師読影の教育のうえで有用な講演であったように思う.
 技師による読影に関する討議は,技師間でも盛んに行われており,今総会もまた例外ではなかった.シンポジウム「胃集検フィルム・プレリーディングの必要条件」では,一次チェック,技師読影の必要条件などが提言されただけでなく,技師本来の職務である撮影技術や精度管理の重要性が再確認された.
 これまで以上に救命度の高いがん検診の実現には,現在討論されている技師の読影能や撮影技術の向上のみならず,十分な装置管理,被ばく管理などが必須となるであろう.受診者からさらなる信頼を得るためにも,われわれ胃集検に携わる診療放射線技師の担う立場を明確にし,装置や被ばくの管理までをも視野に入れた討論が,本部会研究会内で展開されることを期待したい.

(医療科学通信2005年1号)
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