Med.Sci.Report

第32回日本磁気共鳴医学会
―インターベンショナルMRI―
医誠会病院画像応用低侵襲治療センター 岡田 篤哉
 2004年9月16〜18日,滋賀県大津市で標記学会が開催され,MRガイド治療のパネルディスカッションに参加した。0.3〜0.5TのオープンMRを使った凍結療法,開頭手術,消化器外科手術の演題,1.5T MRを使った集束超音波治療の演題がそれぞれ1題,計4題が発表された。

 横型オープンMRを使った治療としては,凍結療法,開頭手術が紹介された。凍結療法では,MR透視下で正確に腫瘍を穿刺することができ,また神経・血管などの正常組織を障害することなく腫瘍だけを治療することができる。腎癌,子宮筋腫に対して良好な成績をおさめている。日本では治験がすでに終了しており認可待ちの状態である。また横型オープンMRを使って主にglioma(神経膠腫)に対して開頭手術が施行されている。神経膠腫の手術では,腫瘍をまったく残すことなく,できるだけ正常組織を温存しなければならないが,さまざまな方法を組み合わせて再発率を抑えている。0.3Tという低い磁場ながらも神経線維のdiffusion画像のソフトも開発されている。縦型オープンMRを使った治療としては,主に肝癌に対して腹腔鏡下マイクロ波熱凝固術が行われている。補助器具などさまざまなデバイスやリアル・タイムでの三次元画像表示,温度表示,時間軸と組み合わせた四次元表示といったソフトの開発がされている。これらを組み合わせて治療することにより肝癌の局所再発率を低く抑えている。通常の1.5T MRを使った治療として,位相画像法により焦点の温度表示をすることにより子宮筋腫,乳癌,肝癌に対し集束超音波治療が行われている。合併症は非常に少ないが症例の選択が困難であり,今後の症例の積み重ねが必要である。

 MRガイド治療はX線被ばくがなく実時間で画像を表示でき今後期待される領域であるが,医療現場に工学系研究者が少ないこと,MRを占有すること,通常の治療に比べて人手がかかることもあり,日本でMRガイド治療を施行している施設は海外に比べてまだまだ少ない。欧米ではオープンMRを使ったレーザー治療,ラジオ波熱凝固治療だけでなく,最近では1.5T MRを使った血管造影なども研究されている。日本でも工学系研究者と共同で研究することにより日本発のソフト,周辺機器の開発を進めていく必要がある。

(医療科学通信2004年4号)
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