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はじめに
2003年,フランスとロシアの緊急被ばく医療の実情を調査する機会に恵まれました。この核技術にかかわる調査は,特にその了解を得ること自体が困難なわけです。前者では,在日フランス大使館および電力会社などの民間企業,核燃料サイクル開発機構からの道筋づけ,後者は長年のロシアとの共同調査を行っている筆者の友人のいる研究所ということで実現できました。
日本では,東海村臨界事故以後,こうした特殊医療を問題視しています。しかし,めったに発生しない放射線事故や核災害を相手にするため,多くの国では経験値が不足しているのが実情かと思います。わが国も,確かに広島・長崎,第五福竜丸,東海村の経験がありますが,事例数は限られております。また,それぞれの被ばく経路も異なっています。ですから,海外事例の調査を自国の対策に役立てるための調査は有効だと考えています。
今回は,昨年の調査から緊急被ばく医療に関する部分を紹介いたします。
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