画像診断医の評価

古川敬芳・画像診断科部長
 放射線部門システムについて,古川敬芳・画像診断科部長に聞いた。「モニタ診断に関してですが,現実的な問題としてMDCTなどではデータ量が多すぎてモニタでないと診断できません。データは増えていますが,読影効率は上がっています。ページングで見ていくと読みやすいですね。電子化されているからこなせるという感じです。ひとつの画像を別々の場所で同時に見ながら話をしているときなど,情報の共有化ができているということを実感します」。
 電子カルテは発展途上の技術だとも言える。医療には「泥臭いところ」があるので,臨床部門での作業フローをそのまま電子化しようとすると無理が生じる。古川部長は「それに比べて検査系のように特化した部門はやりやすいと思います。情報量が多く初期投資もかかりますが,始まってしまうと楽になります」。
 電子カルテ導入に際しての留意点もうかがった。「パソコンでもなんでも流れが単純なほうが操作しやすいでしょう。それと同じで,人間もシンプルな行動をとるほうが楽なんです。既存の施設で(電子カルテの)パッケージを導入してみると必ず摩擦があると思います。ベンダーは電子カルテのほうをモディファイすると言うと思いますが,医療スタッフが努力してパッケージに合わせたほうがよい場合もあります。そういう意味では,診療科別とか,職種別とかの狭い範囲でやるのではなく,ひろく横断的に人を入れてよく話し合うことが重要です。それから従来の運用方法を見直しをしたほうがいいと思います」。
 システムが合わなければ,業務を見直す。そうすると,いままで当たり前としてやっていたことが,実は無駄だったということが見えてくる。既存の病院で電子カルテを入れるときは業務を見直すひとつのチャンスとなる。それをうまく生かして,他の部門,多職種の人と話し合いながら,既存のシステムを見直す。この話し合いやコミュニケーションの手段を確保し続けていくことのほうが電子カルテを入れるということよりも重要なのかもしれない。
(医療科学通信2004年3号)
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