Med.Sci.Report

第43回日本消化器集団検診学会
―技師の一次チェックとは―
社会保険北海道健康管理センター 杉沢 猛
 2004年5月20〜22日,札幌市において標記学会が開催された。

 当施設では透視撮影と並行して撮影技師が所見レポートを記入し,読影医に提出している。このシステムを実施してから23年になるが,最初のきっかけは医師からの要望であった。
 本学会でも取り上げられたが,最近,技師による一次チェックの是非についてディスカッションする機会が増えた。これも,医師からの要望でレポートを提出する施設が増えてきたからであろう。また,なんの基準もなく,請われるがままに始めたレポートの提出である。このままでよいのかという思いが技師の間で徐々に高まってきたことの現れであろう。
 筆者は,読影には撮影者の印象が反映されるべきだと考えている。それには,適切な追加撮影と透視観察のレポート提出で十分可能である。われわれのように集団検診を業とするものに限って言えば,これを技師による一次チェックと位置づけるのがよいと考えている。また,精度を考えると,撮影枚数に制限のあるルーチン撮影だけに頼るのは限界がある。さらなる精度向上を目指すにも,撮影時における透視観察力を高め,気づいた異常所見を適切に追加撮影することが最も効果的だと考えている。技師による一次チェック・一次読影が広まりつつあるが,医師による診断の一助を担うということであれば,透視観察と追加撮影こそ技師による一次チェックの場と認識し,その技術を高めることが優先課題だと考えている。
 これについては,異論のある方も当然おられるであろう。そのあたりは今後の議論に委ねるとして,最後にもう一言。
 現段階では,何をもって一次チェック・一次読影とするのか,用語と認識の統一がなされていない。当施設のように,透視観察中の所見レポートのようなものもあれば,自分で撮影したフィルムのチェック・読影,撮影者に関係なく技師によるチェック・読影をするなど,方法もさまざまである。
 今後議論を進めていくうえで,用語と認識の統一が早急に必要であろう。
(医療科学通信2004年3号)
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