Med.Sci.Report

第13回日本乳癌画像研究会
―画像を扱うプロとしての役目―
社会福祉法人宇治病院 放射線科 大竹 昌子
 2004年2月7,8日の2日間,標記研究会がメインテーマ「小葉癌の画像診断」のもと,京都にて開催された。
 地元で開催されたこの研究会に1000人強もの参加者が集まるなど,盛大であったことがとてもうれしい。13回を数える研究会ではあるが,一体誰が1000人も集まると予想していたであろう? このことからだけでも,昨今の乳癌画像への関心の高さがうかがえる。
 シンポジウムでは,最近増えてきている「小葉癌」の画像診断を取り上げていた。マンモグラフィはもちろん,超音波やCT,MRI,そして病理に至るまで,症例を交えて各分野の第一人者のわかりやすい講演を聴くことができた。
 今回一番大きく考えさせられたのは教育講演「良いマンモグラフィと悪いマンモグラフィ」である。良いマンモグラフィとは,一にも二にも明確な判断が下せるマンモグラフィだろう。「誰が見ても」とまでは言わないが,読影する医師が見やすい写真を提供するのは技師の役目であろう。反対に悪いマンモグラフィとは,どんなに優秀な読影医師が見ても何も見えてこない写真だろう。読影に値するものでないと病変を見落とす,または病変をつくり出してしまう。今回の教育講演では実際にこのような理由で乳癌を見落とした中間期癌の症例や,反対にゴミやしわ,異物などのせいで不要な精密検査をしてしまった,という症例が提示されていた。本当に怖い話である。自分を含めマンモグラフィを撮る技師のレベルアップを切に願う。
 また,非侵襲的検査としてこれからますます需要が増えていくであろう,マンモトーム生検やPET,センチネルリンパ節生検など,こういう機会でもなければなかなか聴くことのできない話も豊富であった。自施設で行うかどうかは別として,とても興味深く聴き入った。
 これからますます乳癌の画像診断への期待は高まるばかりであろう。私も画像を扱う診療放射線技師の一員として,「ここで得た知識を最大限に生かした仕事をしなければ」と改めて自分に言い聞かせた2日間であった。

(医療科学通信2004年2号)
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