今日から使える
放射線診療時の英会話
梅崎 典良,杉山 嘉郎:監修
A5版・本体2,800円・医療科学社 |

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[評者]佐藤幸光
(日本大学医学部附属板橋病院中央放射線部)
本書は,そのタイトルからみてもわかるように,X線診断,核医学,放射線治療の三部門にわたり日常の放射線診療業務時に即活用できる例文が数多く示されており,診療業務に従事する方々や医療従事者をめざす学生の皆さんにも,きっと役立つ一冊になることであろう。
本書が出版された経緯については,2001年度の(社)福岡県放射線技師会研究助成金を受けて「ネイティブスピーカー吹き替えによる外国人への放射線診療時の対応ビデオ作成研究班」が編成され,3年ほどの歳月をかけて準備し,出版の運びとなったということである。監修者の熱い思いが伝わってくる待望の書である。各部門における放射線診療時の基本的な会話をシーン別に簡単なシナリオにまとめ,本文に対応した英文を2人のネイティブスピーカーによって会話が進む字幕入りの動画としてCD-ROMに収められたことはこれまでになく,本書の大きな特長と言えよう。診療業務ですぐ活用できる代表的なフレーズを中心に,診療現場の臨場感が伝わってくるようである。また9つのコラムが書かれているが,本文の内容の理解をさらに深めるスパイス味をかもし出している。コラムを読んだだけでも大変面白く,大いに参考になること請け合いである。本書で使われているフレーズは,それぞれの専門用語を置換することで他部門に従事している方々にも応用ができるので,各診療現場で常備しておいてほしい一冊である。
以前,外国人の患者さんに聞いたことがあるが,日本の病院で診療を受ける際に一番心細い点は,なんといっても言葉の制限のなかで,自分の思いが診療従事者に正確に伝わり,適切な処置をしてもらえるだろうかいうことだそうだ。そのような患者さんの不安な心理を少しでも払拭できるように,英語というツールを通じて心の通いあったコミュニケーションを図っていきたいものである。それには,まずは本書で使われているフレーズを実践してみることから始めたい。恥ずかしいとか,発音がうまくできないとか,こんなふうに話したらおかしいとか考える前に,ともかく誠心誠意,声に出してみることである。本書が診療従事者の必読書の一冊に加えられ,大いに活用されることを願ってやまない。
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