Med.Sci.Report

第1回日本医用画像管理学会
―情(報)は浪速から―
埼玉医科大学総合医療センター 中央放射線部 小川  清
 2003年11月21日,大阪国際会議場にて標記学会が開催された。講演に先立ち行われた総会では,阿部一之会長より平成15年度事業報告・会計報告,平成16年度事業計画案・会計予算案が提案され,承認された。
 引き続き,岡崎宣夫(アリゾナ大学客員教授)が「医用画像情報管理の日本,海外での将来展望」というテーマで講演を行った。日本と米国の医用画像情報管理の違いや,これからのあり方に及び,この学会の方向性を示唆した内容となった。このとき会場が満席となり,この学会や内容に興味を持つ会員が増えていることを実感した。
 続いてパネルディスカッション「医用画像情報管理で放射線技師の果たすべき役割」では,小西康彦(りんくう総合医療センター),吉野秀佳(川崎市立病院)が座長を務め,4人のパネリストが話題提供を行った。
 池田龍二(熊本大学附属病院)は「診療放射線技師の立場から」というテーマで,日常の現場にてHIS,RIS,PACSを管理する立場から放射線技師が最適なシステムの構築と運用,業務分析,障害時の迅速な対応ができるようになるべきであるとした。またユーザーとしてはセキュリティに関して注意すべきと話題提供した。奥田保男(岡崎市民病院)は,診療放射線技師としてではなく病院全体の医用画像管理者の立場から,現状の問題点と今後実践すべき事項について話題提供した。小笠原克彦(北海道大学医学部保健学科)は「教育界からの立場から」というテーマで,学校教育における医用画像管理教育の現状と展望,そしてその認定制度のあり方について話題提供した。篠田秀範(日本画像医療システム工業会)は,DICOM,IHE-Jなどの標準化の動向と,今後なすべき事柄について話題提供した。
 会場には熱心にメモをとる会員が数多くいて,学会としての将来性が期待できる反面,興味を持った会員,持ちつつある会員の期待を裏切らず,どこまでできるかということについては,微妙な舵取りが要求されそうだ。特に本学会は日本放射線技師会の傘下に誕生した学会であるので,少人数技師の施設や相談者のいない施設で,経営者から「フィルム保管スペースがなくなった。電子化を考えろ」と言われたときなどに,その方向性を示し,また相談などに親身に答えられる学会組織になってほしいと願う。
(医療科学通信2004年1号)
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