Med.Sci.Report

平成15年度全国放射線技師総合学術大会
テーマシンポジウム
「緊急提言―あなたとあなたの施設は生き残れますか」
―変貌への鼓動―
社会保険新宿健診センター 放射線科 吉田 浩子
 医療の本質である「患者中心の医療」を確立するうえで,安全かつ安心な医療の提供を担保するためには何が必要になるのか。今回のシンポジウム「緊急提言―あなたとあなたの施設は生き残れますか」では,そうした観点から日常業務の大きな落とし穴とも言える部分まで教えられた。
 マネジメントの重要性,安全な検査環境の充実,医療機関の安全確保のために医療監視はどうあるべきか,診療放射線技師の本来の役目である機器管理における日々の点検,機器製造・販売業者との関係,診療報酬に反映されるべき技師格など,問題の大きさと多さを改めて痛感した。
 こうした項目一つひとつがまさに医療を受ける患者の安全を担保するものであり,日々のこうした活動に対する評価により診療放射線技師が社会的に認知されるものと思われる。
 1951年に診療放射線技師法が制定され,すでに52年の歳月が経過している。現在の医療環境のなかで,旧体制の法律のもとの資格が適合するわけがない。医療はその違法性を阻却されることにより認められた行為である。医療従事者は,その危険性を十分に把握し,理解したうえで医療行為ないしは診療の補助にあたらなければならない。しかし診療放射線技師は,大きな改革もないまま旧態依然たる体質と精神のままでいるような気がしてならない。それは,甘えなのか,責任放棄なのか。今こそ医療人としての自覚を現代社会に合わせて明確に考えるべき時期ではないのか。
 「緊急提言―あなたとあなたの施設は生き残れますか」というタイトルを見たとき,一瞬驚き,不安が頭をよぎった。そしてシンポジウムの後,「もっとしっかりと自分の職業を考えていこうではないか」という診療放射線技師への警鐘として,そこに込められたメッセージを感じとることができた。大阪大会のテーマ「変貌への鼓動」とは,まさに,今私たち診療放射線技師が,自分たちの生き方を変えていかなければ,生き残れない,いつか社会から淘汰される職業であろうことを自覚しなければならないというものと受け止めた。
(医療科学通信2004年1号)
↑このページの先頭へ