Med.Sci.Report

平成15年度全国放射線技師総合学術大会
―大会を終えて―
平成15年度全国放射線技師総合
学術大会組織委員長 小川 利政
 今大会は「よく学び,よく遊べ」の大会であったが,最も大きな特徴は13のレクチャーコースを設置したことであろう。すべての会場が満員で,マンモと消化管のコースでは参加者が会場の外にまであふれ出し,開けた扉の外から見ている状態であった。CTとMRのコースでは,初心者から上級者まで,恥ずかしくて今さら他人には聞けないと思われることまで懇切丁寧に説明され,知識の整理を含め,本当に勉強になった。
 ラウンドテーブルカンファレンスでは,「元気の出る卒後教育プログラムの実践」と「今,ここでの出会い―患者・技師・人―」を取り上げたが,各々に演者と会場で白熱した議論が交わされ,主催者の意図した展開となった。
 特別講演は春山満氏(Handi Network International代表取締役)に,医療行政から医療従事者の接遇まで,マクロからミクロに及ぶ幅広い視点から辛口のお話をしていただいたが,「人との出会いは最初の15秒と最後の15秒が重要である」という言葉は強く印象に残っている。
 シンポジウムは,放射線技師が医療界で勝ち組として生き残るための施策にスポットをあてた。
 大会テーマシンポジウム「変貌への鼓動―拝啓,未来の放射線技師様―」では,辻本好子氏(COML理事長)の基調講演の後,マスメディアの吉島一彦氏,看護師の前川マキコ氏,放射線技師の土、井司氏,教育者の斎藤裕久氏から各々の立場,視点での有意義なお話をいただいた。特に,辻本・吉島両氏からは患者・市民の立場での提言がなされたが,私たち放射線技師がまだまだ勉強していかなければならない数々のことをご教示いただけたと思う。
 「緊急提言! あなたとあなたの施設は生き残れますか?」は,日本画像医療システム工業会(JIRA)との共同企画とも言えるシンポで,医療の安全性を軸に,そこに付随する諸問題を取り上げた。診療報酬を巻き込んでの安全性の論議を今後も継続してほしいと願っている。
 今大会の成果としては,技師と一般社会との接点について多くの参加者が目覚め,視点を変えたものの見方を始めたことではないだろうか。今後は,今大会の成果を踏まえ,ひとりでも多くの方が行動を起こしていただきたいと願う次第である。



(医療科学通信2004年1号)
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