書 評

必 携
病院における実践英会話
─医療従事者のための基本英語─
Marshall Smith,佐藤 伸雄:著
本体2,500円

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[評者]梅田徳男(北里大学医療衛生学部・北里大学大学院医療系研究科教授)

 本書は,医療従事者を目指す学生の皆さんにも,すでに医療従事者となられた方々にも,良き案内書となるだろう。というのも,本書は現実的な事例,わかりやすい事例を中心とした内容で構成されており,医療現場で実際に使える英会話が掲載されているからである。またQuiz(小テスト)やExercise(練習問題)がふんだんに載せられているので,内容の理解度の向上に役立つ。本書はさらに,看護領域,リハビリテーション領域,放射線領域の各領域を横断するかたちで構成されているため,他領域の英語表現も理解でき,チーム医療実施の際にも役立つ。
 第1章の患者接遇と第2章の救急医療では,とかくわが国では抽象的な教養として扱われがちな内容を,米国流のマニュアル的な具体性を持った内容としている。第3章の生活習慣病の予防では看護と栄養学を,第4章の検査値に基づくアドバイスでは看護と臨床検査学を,第5章の筋骨格損傷では放射線技術と理学・作業療法を,それぞれ具体的な会話例のなかにどの専門職にも役立つ話題を取り上げている。第6章のディベートと会議では,病院管理に競争原理を導入すべきか否かをDebate(討論)形式で構成し,やがて訪れるであろう病院の株式会社化,専門職の免許更新制度など,ホットな話題を取り上げている。第7章の国際会議では,禁煙問題,電子カルテを演題として,国際会議に出席し講演などを行った際の例などを紹介した構成としている。
 以上のように,本書は病院内での業務,患者接遇など,医療従事者にとって必要不可欠な英会話のみならず,解剖や生理学,診療画像技術学などの医療知識をも紹介している。また,本書は読者が国際会議に出席した場合にも,参加者同士の交流,講演の参考になるとも思われる。これらから,本書は医療従事者を目指す学生の皆さんの教科書として,また,すでに医療従事者となっている方々の参考書としても活用できる内容となっている。

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