Med.Sci.Report

DDW-Japan 2003 Osaka
―技師によるX線透視時チェックの効用―
(財)労働医学研究会 放射線科 木村 俊雄
 第41回日本消化器集団検診学会は10月15日から18日までDDW Japan 2003 Osaka(以下DDW)において開催された。また第20回部会研究会総会も同地でDDWから分離独立したかたちで18日に開催された。
 「技師によるX線透視時チェックの効用」。これは今回の第20回部会研究会総会において取り上げられたシンポジウムのテーマである。この部会研究会は日本消化器集団検診学会の下部組織にあたり,しかも医師が大きく関与している研究会でもある。この研究会において「技師によるX線透視時チェック」という文字が躊躇なく使われたことに大きな意義を感じる。つまりこの透視時チェックは,最終目標でもある撮影者によるフィルム読影,いわゆる一次読影,そしてその制度化にもつながる可能性があるからである。もちろん各シンポジストもこのへんは念頭において話されていたようである。
 現在,胃がん検診はX線以外による検査の台頭により,その選択肢は大きく広がりつつある。これは今回のDDWでのシンポジウム,ワークショップでも取り上げられているように,内視鏡はもとより,血清ペプシノーゲン法や,ヘリコバクター・ピロリ抗体などによる胃がん検診の報告からも明らかである。X線検査の徹底した精度向上の必要性が今まさに叫ばれ,急務となっているのはこのためでもある。
 今回のシンポジウムは,技師による透視時の異常のチェックであった。そして今後はさらに進んでの一次読影者として立場の確立に向けての努力である。目標の見えていなかった技師に対し,「明確なる目的」という光明がもたらされたことになり,ひとつの方向性を見出せたのではないだろうか。そしてこのことが,知識・技術向上に向けての大いなる努力,ひいては精度向上へとつながり,結果として早期胃がんの発見という受診者の大きな利益へとつながってくるのである。やりがいのある仕事へ向けて前進するのみである。

↑このページの先頭へ