Med.Sci.Report

第7回全国X線CT技術サミット
―CTと造影剤(CT検査と造影剤は良い関係)―
慈泉会相澤病院 放射線科 玉井  勲
 8月9日,長野市メトロポリタン長野にて標記学会が開催された。今回,特に注目すべき点は,今まで施設間で統一なく行われていた造影剤の使用量と注入方法に関し,さまざまなポイントから検証を行ったことである。
 造影剤使用量の考え方は,注入条件を一定にすることでTDC(time density curve)をそろえることができるというものであった。CT検査は造影剤が上手く使用されてはじめて良い検査となるため,この考え方は非常に重要であり,臨床でどのようなデータがとれるかも興味深い。CT装置から見た場合と形態診断から見た場合とでは,一部つながりはあるものの,両極端の検証結果であったように感じた。撮影側からは「装置の持つ低い電圧を使用しコントラストを向上させることにより,結果的には造影剤量を減らすことが可能ではないのか」という報告がなされた。しかし,形態診断側からは「造影剤はたくさん使用する。特に動脈相を維持するのに150mLは欠かせない」という報告もあった。今までのシングルスライスCTでは範囲が限定されていた体軸方向のデータ収集も,マルチスライスCTの開発により全身検索を行うことが可能となった。これからは,この造影剤使用量についても検証していかなくてはならない。
 三次元画像・MIP作成に関しては,周知のごとくいかにその画像のノイズを少なくコントラストを良くするかが重要である。これらについて一本化された項目がないことも事実であるが,検査にかかわるさまざな要素を使い分けることにより解消されてくるのではないだろうか。
 今回はCT検査と切り離すことのできない造影剤についてさまざまな方向から検証を行ったほか,膨大なデータをどのように扱うかについても話し合われるなど,大きな変革を予感させる大会であった。

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