放射線管理士,放医研で
緊急被ばく医療について意見交換













 6月24日,首都圏の放射線管理士17名が放射線医学総合研究所(放医研)の緊急被ばく医療研究センターを訪問,この分野における協力体制構築に向けて意見交換を行った。放射線管理士とは,(社)日本放射線技師会が独自に認定する資格で,「放射線管理における専門的知識および危機管理能力を有し,放射線利用施設における施設の『放射線管理』『職業被曝管理』『医療被曝管理』などを目的として当該施設の放射線管理を統括する者,また緊急被曝から国民の安全を確保する者をいう」と定義され,約2年の準備期間を経て1999年8月に認定講習会開催を会告,JCOの臨界事故発災後の11月に講習会・認定試験を実施し,60名余が第1回の認定を受けている。現在約400名が認定され,今年度末までに1000名の認定を目指していると言う。
 一行はまず,同センターの近藤久禎氏より,放射線事故には過去にどんな事例があったのか,また一般の集団災害と比べて放射線災害にはどういう特徴があるのか,想定される放射線災害の事例とその対応体制はどうなっているのかなど,緊急被ばく医療の概要の説明を聞いた。その後,ホールボディカウンタをはじめとする線量測定機器や除染設備を有する緊急被ばく患者の受け入れ施設を見学,同センターの明石真言,平間敏靖両氏も加わっての意見交換となった。
 最初に放射線管理士側から,東京都・笹沼和智,神奈川県・沼田恭一,千葉県・関根明各氏が,原発の放射線管理員との意見交換,インターネットや健康展などにおける一般住民の被ばく相談,自治体の原子力防災訓練への参画,医療施設の放射線漏洩線量測定など,それぞれの都県における放射線管理士の活動を紹介した。そして,放射線災害時のどのような場面で放射線管理士の出番があるかとの質問に,明石氏は,事故時に事業者ではなく第三者的立場から健康影響への説明を受けることは非常に重要であり,管理士として一般の人に放射線についての説明,知識の普及に積極的に参加してほしいと要望した。また平間氏は,実効的なシステムをつくり,実効的に動けるようにしてほしいとし,近藤氏はそのためにも,行政の防災対応のなかに具体的に放射線管理士の名称が書き込まれるなどオーソライズされることが必要だとした。
関連書籍: 緊急被ばく医療の手引き
放射線物語
放射線安全管理の手引き
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