Med.Sci.Report

第2回ミニウォーク&ラン・フォー・ブレストケア
ボランティアに参加して


















社会保険新宿健診センター 滝井和歌子
 3月30日,東京・立川の昭和記念公園において,乳房健康研究会主催による第2回ミニウォーク&ラン・フォー・ブレストケアが開催され,筆者はボランティアとして参加する機会を得た。この大会は,乳がんというものを理解し,自己啓発を促進するために始まったもので,今回は約5000人という大勢の参加者で公園内は大変なにぎわいとなった。乳房健康研究会の啓発運動に共鳴する女性放射線技師7人が参加していたこともあり,乳房健康研究会のブースはとても親しみやすいものとなっていたように思う。実際,大会参加の大勢の方々が興味を持ち,このブースでマンマモデルを触診していった。
 参加の方々に「このオッパイを見てどう思いますか,触ってみて何を感じますか」と尋ねてみたところ,たいていの方たちはオッパイをどう見たらいいのか,どう触っていいのか考え悩んでいた。若い人,子どもを連れている若い母親,年輩の方たち,皆オッパイの形は知っていても判断基準があいまいで認識が不確定な要素が多く,何をどう考えればいいのか悩んでいるのが実状だった。触診もただ皮膚をなでているような人もいれば,オッパイとして膨らんでいるところのみにしか触らない人もいるし,点在的にしか触診しない人もいた。また乳がんのX線検査や超音波検査を知らない人もいた。やはり,日本人は乳がんに対して認識がとても低い。
 私たちは,乳がんの発生部位は統計的にどこが一番多いかを示し,鏡で毎日オッパイを観察したり,入浴したときに簡単にできる触診など,乳がんの早期発見は自己検診で簡単にできるということを説明した。また診療放射線技師の立場から,どのようにオッパイを撮影するのか,撮影による医療被ばくはどれくらいかを説明した。風船を乳房に見立て,X線装置での撮影実演を行うと驚く人たちが多かったが,オッパイがつぶれるのではないかという不安を解消でき,装置で乳房を挟む必要性と,またそのときに痛みが伴うことも理解してもらうことができた。こういったことを女性一人ひとりが知ってほしいのだが,なぜか乳房に無感心な人が多い。しかし,乳がんが増加傾向にあることは事実である。このような日本人の意識を変えるために,社会が知識や情報など自己啓発の推奨を続け環境づくりをしていくべきである。もちろん診療放射線技師の立場からもよりよいマンモグラフィの精度管理を行い,撮影に関しての医療被ばくを理解してもらうために努めていかなければならない。このボランティアに参加して自己啓発の大切さと社会における医療の立場を痛感し,もっと広げていかなければならないと考えた。
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