Med.Sci.Report

平成14年度近畿地域技師会学術研修会

―「電子カルテに向けた       
       病院情報システム」を聴いて―
滋賀医科大学附属病院放射線部 横田  豊

 2月16日,滋賀県立県民交流センターにおいて標記研修会が開催された。特別講演の「電子カルテに向けた病院情報システム」は,現在多くの施設で導入問題に直面しているので興味深い。確かに,コンピュータの進化とコストダウンの背景を受けて,病院情報システムとしての電子カルテ構築が実現しやすくなった。
 カルテは元来,診療を受ける患者本位の安全性を確保するものである。(1)診断結果や治療計画,インフォームド・コンセントなど医療の情報公開,(2)治療結果や効果,医療技術評価の公開,(3)他医療機関との医療情報提供など病診連携体制の確保,(4)医療の質の向上を支援すること,などのような問題は電子カルテが大きく貢献するであろうし,医療が社会の要求に対応するための即実性にも期待できるであろう。
 一方,演者も述べているように,運用する側においては,(1)医療現場のいつでもどこでも容易に入力できる利便性を考慮したシステム構築,(2)情報セキュリティを保つこと,(3)環境に依存しないシステム稼動の安定性,など課題は多い。これらは単にペーパーレスというだけではなく,電子カルテ導入がもたらす経営をも視野に入れた病院運営の最適化を図るリストラであると言える。
 放射線診療業務での視点から見ると,電子カルテとともにフィルムレス構築の問題も大きく関連する。医用画像情報をフィルムレスで配信できるメリットは電子カルテ導入と相乗して,診療業務時間の短縮にもつながるし,放射線診療業務の効率的な運用に反映して,何よりも患者サービスに多大な貢献をもたらすはずである。

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