Med.Sci.Report

第12回日本乳癌画像研究会
―最終目標は乳癌からの救命―
大阪府立成人病センター放射線診断科 中島  直

 標記研究会が,2月7〜8日,神戸ポートアイランドで開催された。
 この研究会は,いい意味で乳癌画像のデパートのような気がする。旬と流行の情報とも言える各モダリティに関する豊富な演題とそのなかに見えてくる共通のテーマ,基礎と伝統に裏打ちされた工芸品のような病理セミナー,現状を正しく理解する催し物会場のようなモダリティごとのピットホールについてのシンポなど,エスカレーターに身をまかせ各階を回るごとく,時間とともに自然と疑問から理解へと回答が得られ,充実したものであった。
 筆者自身,日ごろMMGを中心とした画像に携わる関係上,教育講演のマンモグラフィに期待を寄せていた。現在のマンモグラフィの課題は,いかに高品位な画像をつくりあげ正確に診断を行うかということと,CRやFFDMに代表されるデジタルマンモグラムの評価である。前者については,精中委をはじめ各種の講習会が開催され,多くの人材が育っている。しかしその熱気は持続しているのであろうか,評価のみに気をとられてはいないか。精度管理の実践や読影後の病理との対比など地味な努力と情熱を持って続けることが肝心かなめではなかろうか。一方,デジタルマンモ対コンベでは,演者のソフトでやさしい語り口に,他でよく見かける好戦的な討論もなく,じっくりと拝聴できた。デジタルマンモでは,マイクロカルクにおけるピクセルサイズや濃度分解能などが話題とされるが今後の答申を待ちたい。
 今回思ったことは,あたりまえのことであるが,自分の扱うモダリティやシステムが決してゴールドスタンダードではなく,また,他と競い合うものでもないことである。われわれの最終目標は乳癌からの救命であることを念頭に,互いに研鑚すべきと痛感した。
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