昨春,わが国医療職能団体史上異例の,35年間という長期にわたる日本放射線技師会会長職を退任された中村實名誉会長は,このたび1977年以来9冊にわたって小社より刊行された自著のエッセンスをまとめた標記書籍を出版(3月18日発行)。それに先立つ3月10日に三重県・四日市都ホテルにて,鈴鹿医療科学大学および東海地域の日本放射線技師会関係者約100名が参集して出版記念祝賀会が催された。 中村名誉会長は,昨春以来大学理事長として教育事業に専心される傍ら,回顧録の執筆準備を進めてこられ,その間自らの著作を年代を通して調べていくなかで,各論説の課題が今日性を失っておらず,技師会史あるいは医療社会批判としての有意性から自撰作業に着手。会長退任から1年を経ずして同書の上梓に至った。在任中同様出版活動に寄せる強い意欲をうかがわせるとともに,体調を崩されていたとは思われない“不屈の人・中村實”健在の感を強くするものである。 発起人代表ならびに来賓者の祝意を受けた後,中村名誉会長は「会長として長い時間をかけ,自分なりの信念と目標でやってきた流れがこの本には凝縮されている。日本の医療は改革が言われながら,まだまだ追いつめられなければ真の改革は生まれない。その意味でも,この本の突きつけるテーマは意義を失っていない。また,大学は経営的には安定しているように見えても,現状のあり方には決して満足していない。したがって私のやれることはまだまだあると思い,力の続くかぎり与えられた課題に挑戦してまいりたい」との挨拶を述べ,「何事も自己を捨てて本気でやれば必ずできる」との実践精神を力説。 会場は,医療と教育の大義にかける中村名誉会長ならびに大学理事長の底深い情熱を改めて確認し,今後一層の壮健と活躍を期する来会者の大きな拍手で湧いた。
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