Med.Sci.Report

平成14年度九州放射線技師学術大会
放射線技師職,畢生のテーマ「被ばく低減」

大分県立看護科学大学学長・草間朋子











日本放射線技師会会長・熊谷和正
 標記学術大会が,2002年11月2日(土),3日(日)の2日間,「我々の目指すもの―画質と被ばく低減の接点―」をテーマに掲げ大分市・コンパルホールを会場に開催された。
 日本放射線技師会はすでに,同会会誌2000年10月号(47巻10号)に同会医療被ばくガイドライン委員会がまとめた「患者さんのための『医療被ばくガイドライン(低減目標値)』」を発表,さらに2002年10月には,大幅な補筆を加え,また文言なども見直して『医療被ばくガイドライン―患者さんのための医療被ばく低減目標値―』(同委員会・編,医療科学社・刊)として上梓,改めて医療界,一般国民の評価を問うとともに医療被ばく低減の責任を診療放射線技師が全面的に引き受けることを表明するものとなった。こうしたなか,「医療被ばく低減」を真正面から取り上げる標記学術大会はその活動の今後の展開を予見させるものである。
 大会初日の教育講演1「診療放射線技師への期待」の大分県立看護科学大学学長・草間朋子は,IVRにおける過剰被ばくの問題が顕在化するなどその役割が大きくなってきている昨今,放射線技師は自信を持って医療にかかわってほしいと要望,放射線防護における放射線技師の役割としては最適化ばかりでなく正当化をも視野に入れるべきで,医師のオーダーが過剰であればそれに異を唱えられ,ものが言える技師となることが重要であると強調した。そして,最適化とは診療の水準の確保と安全性の確保が一体となったもので,evidenceに基づいていることが求められるとして,そのひとつが上述の「ガイドライン」であるとした。
 一方,特別講演「医療被ばくガイドラインの目指すもの」の日本放射線技師会会長・熊谷和正は,診療放射線技師法の適正化のひとつの足がかりとし,また,技師自身が自らの責任を自覚することによってスキルアップの必要性を認識してほしいとの「ガイドライン」が提示するメッセージを解説し,本誌にも改めて詳細を寄稿していただいたとおり(医療科学通信No.1,10ページ),ピックアップ方式による放射線技師の新たな認定制度などについて語った。
 また,指定演題「医療被ばくガイドラインの実践」の演題はそれぞれの領域における医療被ばく低減に向けた実践例の報告で,これはそうした活動が緒につき始めたことの証左であり,今後の全国規模でのさらなる実践が期待される。
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