 。 時間の関数としてこの電流をぷろっとすると、sin波となる
。 時間の関数としてこの電流をぷろっとすると、sin波となる 。この波はもちろんスピンのdephaseにより時定数T2*で減衰する。この信号は自由誘導減衰(FID, free induction decay)と呼ばれる
。この波はもちろんスピンのdephaseにより時定数T2*で減衰する。この信号は自由誘導減衰(FID, free induction decay)と呼ばれる  。次の第5章では、FIDを周波数スペクトルに変換する方法を説明する。
。次の第5章では、FIDを周波数スペクトルに変換する方法を説明する。 
 で回転していると言う
で回転していると言う  。また、回転座標系よりも遅く回転しているベクトルは-
。また、回転座標系よりも遅く回転しているベクトルは- で回転していると言う。
 で回転していると言う。  
 。この磁化ベクトルは+Z軸のまわりに歳差運動を始める
。この磁化ベクトルは+Z軸のまわりに歳差運動を始める  。このベクトルは時間とともに減衰する。
。このベクトルは時間とともに減衰する。  
パルスシーケンスのいろいろな情報を何本かの時間軸上にプロットしたものをタイミングダイアグラムという。この90度FIDパルスシーケンスのダイアグラムには,RFエネルギーおよび信号強度が時間軸上に示されている。 

 
SN比の向上などを目的としてこのシーケンスを繰り返す場合には、 フーリエ変換後の信号強度は T1 とシーケンスの繰り返し時間(TR)に依存する。以下のこのシーケンスの信号強度をあらわす式では、kは比例定数で  は試料のスピンの密度をあらわす。
は試料のスピンの密度をあらわす。
 ( 1 - eTR/T1 )
 ( 1 - eTR/T1 )
 。ここではまず、90度パルスがスピンに加えられる。
 。ここではまず、90度パルスがスピンに加えられる。  90度パルスは磁化を、X'Y'平面に倒す。横磁化は、dephaseを始める
90度パルスは磁化を、X'Y'平面に倒す。横磁化は、dephaseを始める  。90度パルスを印加してから一定時間後に、180度パルスを印加する。このパルスは磁化をX'のまわりに180度回転させる
。90度パルスを印加してから一定時間後に、180度パルスを印加する。このパルスは磁化をX'のまわりに180度回転させる  。180度パルスは磁化をrephase (→第3章『T2過程』の訳注参照) させ、エコーと呼ばれる信号を発生させる。
。180度パルスは磁化をrephase (→第3章『T2過程』の訳注参照) させ、エコーと呼ばれる信号を発生させる。  
タイミングダイアグラム中に、2つのRFと信号の相対的な位置関係を示す 
繰り返し時間をTR、エコータイム(TE)を90度パルスとエコーセンター間の時間で定義すると、繰り返し実行されるスピンエコーシーケンスでの信号強度式は以下のようになる。
 ( 1 - e-TR/T1 ) e-TE/T2
 ( 1 - e-TR/T1 ) e-TE/T2 。磁化は、スピン格子−緩和によって+Z軸の平衡状態に戻ってゆく
。磁化は、スピン格子−緩和によって+Z軸の平衡状態に戻ってゆく  。平衡状態に戻る前に90度パルスを印加すると、縦磁化はXY平面に倒れる。 次の例では、90度パルスが180度パルスのあと、ごく短い時間のうちに印加される
。平衡状態に戻る前に90度パルスを印加すると、縦磁化はXY平面に倒れる。 次の例では、90度パルスが180度パルスのあと、ごく短い時間のうちに印加される  。 磁化が XY平面内に倒れると磁化はZ軸のまわりに回転し、FIDを出しながらdephaseする。
。 磁化が XY平面内に倒れると磁化はZ軸のまわりに回転し、FIDを出しながらdephaseする。
シーケンスの繰り返しが無いときには、信号強度式はTIの関数として以下のように表わされる。
 ( 1 - 2eTI/T1 )
 ( 1 - 2eTI/T1 ) 

 
このため一般には、核の位置での磁場(実効磁場)は加えられた磁場より一定の割合  だけ減少する。
 だけ減少する。
 )
)いろいろな化合物において、それぞれの核の位置での電子雲密度は、核の種類と化合物の結合の種類により変化する。反対向きの磁場、すなわち核の位置での実効磁場は、そのため変化する。これをケミカルシフト現象と呼ぶ。
メタノール分子を例に考えてみる  。この例では、2種類の核の共鳴周波数が異る。この差は磁場強度 Boに依存し、Boを大きくすると周波数の差も大きくなる。 このため、磁場強度が異なるNMR装置で測定されたスペクトルの比較は難しくなってしまう。 ケミカルシフトという言葉は、この問題を避けるために考え出されたものである。すなわち核のケミカルシフトとは、標準値と核の共鳴周波数の差の標準値に対する相対量である。この量は
。この例では、2種類の核の共鳴周波数が異る。この差は磁場強度 Boに依存し、Boを大きくすると周波数の差も大きくなる。 このため、磁場強度が異なるNMR装置で測定されたスペクトルの比較は難しくなってしまう。 ケミカルシフトという言葉は、この問題を避けるために考え出されたものである。すなわち核のケミカルシフトとは、標準値と核の共鳴周波数の差の標準値に対する相対量である。この量は の記号で示し、ppm単位で表わす。
の記号で示し、ppm単位で表わす。
 = (
 = ( -
 -  REF) x106/
REF) x106/  REF
REFNMRでは、この基準値にテトラメチルシラン(Tetramethylsilane, TMS)を利用する。生体内にはTMSは存在しないが、かわりに水と脂肪にはそれぞれ異なるケミカルシフトをもつ水素が含まれている。 この2つの水素の間のケミカルシフトは、約3.5ppmである。