放射線物語
!と?の狭間で
 
著  者:衣笠達也(三菱神戸病院外科医長,放医研緊急ネットワーク会議委員)



■新書版・並製 ■162頁
本体価格 1,200円(税別)
2000年8月25日
発行
ISBN4-900770-88-4
 
東海村臨界事故の医療の原点はここに!
驚異と脅威の歴史─放射線防護の源流を探る

東海村臨界事故の被曝医療に自らも参加した著者は、放射線の発見から原子力エネルギーの利用に至る歴史、放射線防護の考え方などを平易な言葉で解説しながらも、東海村臨界事故の遠因が、わが国の原子力開発がアメリカからの工学的技術導入に偏り、保健部門の整備が伴っていなかったことにあることを鋭く指摘する。好むと好まざるにかかわらず電力の33%を原子力発電に依存しているわが国の現実を直視して、原子力に代わる代替エネルギーが確保されるその時まで、私たちが「放射線といかに付き合うか」を教えてくれるやさしい読み物である。
前川和彦 東京大学教授(救急医学)


 
主要目次
■はじめに

■第一章  放射線の源流
 一、放射線の発見
   十九世紀後半の物理学事情/X線の発見/開かれた核物理への扉/放射線研究の基盤   
 二、核物理学の始まり
   α線、β線、γ線/中性子の発見

■第二章  巨大エネルギーの利用
 一、核分裂の発見と巨大エネルギーの解放
    相次ぐ新発見/中性子の魔術師フェルミ/ヒトラーと核エネルギーの解放/核分裂の連鎖反応
    /核分裂で発生する中性子数/中性子の増加率Kと臨界量
 二、マンハッタン・プロジェクト
    第二次世界大戦とヨーロッパの研究事情/マンハッタン・プロジェクトの発端
    /原子力研究のイギリスからアメリカへの移行/ウランの精製/シカゴパイルの成功
    /マンハッタン・プロジェクトの展開/原子爆弾製造
 三、原爆と原子力の平和利用
    原爆の完成と広島・長崎への投下/原爆投下後の影響/フォールアウト/原子力の平和利用

■第三章  放射線防護体系の淵源
 一、放射線障害の経験
    鉱山における放射線障害/X線による障害/ダイヤルペインター  
 二、アーサー・コンプトンの精神
    保健部門(Health Division)の性格/保健部門の三本柱とその目的   
 三、原子力の保健部門
   医学セクション(Medical Section)/保健物理セクション(Health Physics Section)
   /生物研究セクション(Biological Research Sec-tion)/保健部門の成果

■第四章  放射線といかに付き合うか
 一、線量規制の始まりと展開
    放射線防護の流れ/紅斑線量/放射線の量を表すいろいろな単位/放射線防護への新たな道
    /NCRP/二本立ての基準値――作業者と一般人/医療における被曝/リスク概念の登場
    /一九九〇年基準   
 二、放射線事故
   過去に経験された放射線事故/ロスアラモス/ビキニ/非破壊検査/スリーマイル島
    /チェルノブイリ/ゴイアニア/東海村臨界事故   
 三、今日の放射線事情
   低線量被曝/日本の原子力発電/緊急時医療  

■ あとがき
 

 
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