本書の著者中村信美氏は,撮影技術の修得に貪欲なばかりの熱心さを示し,医師の研究会にも可能な限り出席して知識を吸収するばかりでなく,彼の技術を慕って集る若い多くの技師を指導しているベテランである。
本書は彼が永年に亘って蓄積してきた知識をメモ風にして世に問うたもので,理論のみに走らず,検査の実際で苦闘したもののみが言える微妙な経験が随所にちりばめられている。特に圧巻は胃の形状を立体的に把握するために画いた線画で,これは診断する医師は勿論のこと,撮影する技師が常に念頭において置かなくてはならない基本的な要点であろう。
本書が,初心者のみならず,今後益々重責を負うべき技師諸氏のよき指針,あるいは刺激となることを期待している。
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