感想:動画像でトレーニング 乳腺エコー

「動画でトレーニング 乳腺エコー」で学習した感想
昭和大学病院 放射線部 大澤三和

 本書は、実際の検査における異常所見を発見する検査力の向上を目的としており、「動画」での症例呈示は大変貴重であり有意義な教材であると思います。

 臨床において、MMGのみ担当している診療放射線技師は、MMGで指摘した病変が乳腺エコーにてどのよう描出されているか、またMMGでは指摘できず乳腺エコーで指摘された症を確認する機会が少ないことが現状である。しかし、本書のように、様々な症例においてMMGと乳腺エコーを比較したものは大変勉強になります。乳房検査に携わる診療放射線技師として、乳腺エコーより先に行うMMG所見は臨床検査技師に伝達すべきであると感じました。また、MMG所見は、診療放射線技師にもわかりやすい印象でした。

 超音波検査は、検査中に検査者が異常所見を異常としてとらえられるかが重要となりますが、中でも乳腺エコーは、その形態の特殊性により正常組織の中から異常所見を「異常」と判断することが難しい場合があります。したがって、本書に付属しているDVDは、実際の動画であり、自らが検査を実施しているような体験をすることができるため、検査中に「異常所見」を発見する学習として素晴らしいツールであると思いました。さらに、本には所見の取り方やその詳細、MMG所見や最終診断までが掲載されており、読影力を養うことも可能であり、乳腺検査症例集も使用できると思います。したがって、良悪性を問わず様々な症例を動画と本で学習できることから、良性か悪性か正常乳腺かの判断能力が向上することが、このDVDの魅力の一つであると思います。乳腺エコーは、検査者の症例経験数が増えるほど、異常検出能力が上がるため、本書を使用して学習することで検査精度の向上につながると考えます。

 本書に要望するならば、異常所見箇所に対する追加手技として、カラードップラーやエラストグラフィなどの良悪性の鑑別診断に有用な情報も動画としてあると、より検査に活かせるのではないかと思います。また、DVDの中にも「解答」という形式で異常箇所を呈示してもらえると、症例をランダムにチャレンジした際に、異常発見能力を養いやすいのではないかと思いました。

 今回このような動画を使用した教育テキストを拝見させていただいて、放射線分野においても一次読影力を養うためには、血管撮影検査、CT検査、MR検査においても実際の検査画像に近い動画での症例学習が望ましいのではないかと感じました。