あとがき:診療放射線技師のための院内英会話

患者さんは、何らかの自覚症状を感じて病院に受診し、必要なら放射線検査を行う。放射線検査での診療放射線技師の話し方や態度によっては、自分の症状や病気に対してさまざまな不安や恐れを感じたりする。これらの患者さんの抱く不安とは、外国人の患者さんも同じである。英語が話せないからといって外国人の患者さんに対し、眉間に皺を寄せ困った表情で挨拶し、思いやりのない態度で対応されれば、不安が募るばかりであろう。異国の地で病気を患うかもしれない不安は、われわれには計りしれない恐怖を感じていると思う。昨今の診療放射線技師は高学歴化され、外国語教育が十分になされ始めている。しかし実際の現場では、未だ外国人の患者さんに対し、温かく受け入れ、コミュニケーションを積極的に図ろうとされていない。これらは外国語教育の不十分さからではなく、コミュニケーションをとろうとしない誤った考え方からの態度であると考える。外国人の患者さんの心理を理解さえすれば、コミュニケーションが積極的に図られるべきであろう。

 われわれは、外国語教育をなされていない方でも伝えたい気持ちがあればコミュニケーションが図られる本を作成した。日頃から白衣のポケットに忍ばせ、ほんの少しの勇気と伝えたい気持ちさえあれば、外国人の患者さんにコミュニケーションが図れるようにも構成した。異国に住む患者さんの不安や心配から救えるのは、あなたの心に触れる温かい言葉だけである。“I know that you will speak English in a few years, it all depends on your efforts.”


国立がんセンター中央病院  放射線診断部
第三画像主任  平井 隆昌