改訂増補版 序:マンモグラフィ技術編 改訂増補版

 初版を発刊してから長い月日が経った気がする。初版を発刊してまだ5年であるが,それまでの十数年間に比較し,乳癌を取り巻く環境がここ数年で大きく様変わりしたためであろう。この本もその変革に遅れないよう改訂を行うに至った。

 本改訂では,私たち診療放射線技師にとって,近年最も様変わりしたFSシステムとデジタルシステムに焦点を絞り企画を練った。本改訂でも,やはりその領域で代表とされる執筆者にお願いさせていただき,快諾いただいたことはありがたいかぎりである。そのような方々が放射線技師を取り巻く世界におり,協力していただけることはとても頼もしい。

 そして今回も,この本を利用するであろう診療放射線技師に,最も役に立つ書籍とすることを目標にした。初志を貫徹したつもりである。
 デジタルシステムについては,はじめて知ることも多く,また,難解な事柄も多い。そのような内容を優しく丁寧に解説しながら,全体を網羅した内容に仕上げるよう企画した。

 デジタル画像を取り巻く環境は,今でも日々,刻々と変化している。本書を改訂執筆している今の原稿に普遍的価値を求めることは,執筆者に大変な負担があったことと思う。しかし,集まってくる原稿に目を通したとき,執筆者の能力の高さと編者の見る目に間違いがなかったことを確信でき安堵した。

 原稿のレベルが高くなると,自分自身の知識が足りないことを痛感しながらの校正を余儀なくされる。そんなとき,いつも群馬県立県民健康科学大学の根岸徹先生には駆けつけていただき,助言をいただいた。原稿の進捗がままならないときは,やはり埼玉県技師会の技師諸兄に励まされた。また,医療科学社の方々,特に齋藤聖之様には良い書籍をつくれるよう温かく見守っていただいたことを感謝する。最近の医療では見逃されがちな普遍性の価値が,制作過程を含めて本書にはあると思っている。本書を活用いただき,今後も乳腺の世界で活躍される技師諸兄が増えることを願ってやまない。

 初版と同様,本書は編者,執筆者のみならず,私達を応援してくださった方々の多大なるご協力があってこそ出来上がった皆様の本である。本改訂にあたり,ご協力,ご支援いただいた多くの方々にこの場を借りて深謝いたします。


2009年5月25日
蓮田一心会病院 石栗一男