2年間の研修医期間は多くの科をまわり,あっという間に過ぎてしまうようです.しかしこの2年間に画像診断の基礎を学ばないと,苦手意識を持ってしまい,大きなマイナスとなります.2年間の研修期間中で画像診断のすべてを学ぶことには制限があり,画像診断が苦手となる原因にもなります.本書で学んでいただきたいポイントは,1.目的となる診断に対して,どの画像検査をどの順序でどのような方法で行うか知ること,2.解剖学的知識をふまえて,異常所見の有無とその所見を正確に表現できるようになること,の2点です.これらを学んでおけば,その後の臨床における学習や,教科書や論文を用いた独学でも良好な画像診断ができるようになります.早い時期に読影の基礎を学び,将来も画像診断を苦手としないため本書を上梓いたしました.
編集にあたっては実用に即した最新の情報を盛り込むことで,今日からの診療にすぐ役立つよう留意しました.構成は領域ごとに分け,最初に各領域におけるモダリティの特徴と使い分け,読影法を簡潔にまとめています.疾患は見開き2頁を主体に,最新の知見を整理し概説しています.画像は最新のものを中心に示し,疾患概念や臨床的特徴,モダリティの選択と撮影法,画像所見のポイントを述べました.単純X線写真からCT,MRI,超音波,血管造影に至るまで,画像検査の優先度やポイントとなる画像を表示し,画像についての理解を深めるため,シェーマも積極的に使いました.また,外傷と小児は別項目とし,各々に特有な病態をまとめました.
各章末には内容に関連した問題が呈示されていますが,これは各章で学ぶ疾患を一捻りし,さらなる知識の充実を図るよう工夫したものです.各症例で学んだことが基本事項とすれば,これらは応用問題に相当し,いずれも病歴,画像,質問,画像所見,解説,解答という構成になっています.巻末には日常的によく使われる略語の一覧をまとめ,略語と日本語も対比できるようにしたほか,さらに放射線学的用語,放射線診断と関連深い事項を簡単にまとめました.この一冊で,研修期間中に学ぶべき画像診断学の基本はマスターできると確信しています.
最後に多忙な日常業務と研修医の指導に追われる中で本書の執筆をご快諾いただいた,昭和大学横浜市北部病院放射線科の諸先生方,当科秘書の久良有紀さん,そして出版にご尽力いただいた,医療科学社編集部の齋藤聖之氏に深謝いたします.
本書が研修医の皆さんの画像診断についての“?”を“!”とするよう願ってやみません.
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