本書は,最近メディアでも紹介される機会が増えたX線を利用したコンピュータ断層撮影(X線CT),磁気共鳴イメージング(MRI),陽電子放射型断層撮影(PET),単光子放射型断層撮影(SPECT)など,コンピュータを利用し人体の内部を画像化するコンピュータトモグラフィについて述べている.コンピュータトモグラフィは体外計測したデータから人体の断面を再構成する技術で,その数学的な部分は画像再構成と呼ばれている.実際にコンピュータを用いて画像再構成を行うには,C言語などによるプログラミングが必要である.
本書は医用画像処理や画像再構成に関心がある学部学生,大学院生,技術者の方々に役立つよう,C言語の基礎,ディジタル画像処理,画像再構成について,プログラミングを解説している.本書は以下のように全体で5章から成り立っている.
第1章の「コンピュータの基礎」は,コンピュータの基礎知識をまとめている.
第2章の「C言語の基礎」は,C言語の基礎知識をまとめている.
第3章の「ディジタル画像処理」は,ディジタル画像の扱い方から,矩形画像,円画像,楕円画像の作成,移動,拡大,縮小,回転などの画像の幾何学変換や画像の演算などを紹介している.
第4章の「画像再構成の基礎」は,医用画像処理に使われている様々な処理を述べている.これらの処理は画像再構成に応用される.
第5章の「画像再構成の実際」は,画像再構成の基本となるX線CTの画像再構成について,代表的な画像再構成を述べている.
C言語の基礎がある方は第3章から読まれると,画像再構成の計算機シミュレーションに必要な原画像(数値ファントム)の作成,原画像の積分変換に相当する体外計測データの作成についてご理解いただけると思う.さらに,本書を読まれてMRIの信号計測や画像再構成あるいはSPECTの画像再構成に関心をもたれた方は,姉妹書の『MRI画像再構成の基礎』(2007年春刊行予定)と『SPECT画像再構成の基礎』を参考にしていただければ幸いである.
本書のC言語の基礎の部分は,横浜創英短期大学元教授 高田治彦先生にご指導をいただきました.高田治彦先生にお礼を申し上げます.
本書のプログラムの開発は,株式会社第一ラジオアイソトープ研究所による東京都立保健科学大学受託研究「統計的画像再構成法の定量性に関する研究(平成13年10月〜16年9月)」の助成を受けて行いました.ディジタル画像処理から画像再構成に至る一連のプログラム開発の機会を与えていただいた,株式会社第一ラジオアイソトープ研究所にお礼申し上げます.
最後に,出版に際し,医療科学社出版部長 関谷健一氏には大変お世話になりましたことをお礼申し上げます.
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