編著者 序:超実践マニュアル 救急撮影

 蜩(ひぐらし)の夏の名残を惜しむような声を聴きながら,この序をしたためています.

 「超実践マニュアル」シリーズも,MRI,CT,RI,医療情報につづき,5刊目となりました.それぞれのシリーズにおいて読者からは好評を得ておりますが,今回お届けします超実践マニュアル「救急撮影」は,その集大成,ダイジェスト版のような出来上がりです.

 放射線技術関連の検査は,分野も拡大し内容も複雑になって,全てを完璧に習得するには困難な状況となってきています.しかしながら,例えば当直帯の緊急検査においては,当直者が1人しかいない施設もあり,さらに検査依頼医は各モダリティにおいて日常と同レベルの検査内容を要求することもあり,冷や汗を流すこともしばしば遭遇されるでしょう.

 本書は,そんな場合を想定して救急で必須の緊急検査に関して,検査前の注意点,検査方法,処理方法について,短時間で見られるよう簡潔に解説しています.また,見落としてはいけない急性期の疾患の画像を提示し,最低限必要な読影についても解説しています.

 是非,この書を救急撮影室や当直室に常備していただき,困ったときにはすぐに手にとって見てください.また当直時で時間があるときには,最初からじっくり読んでください.きっと,役立つはずです.

 どうか,患者さんにとって安全・安心で,最良適切な検査を進められることを,心より祈っております.

 最後になりましたが,本書は著者,編集者のみならずVERSUS研究会の各モダリティの優秀なスタッフが校正しています.この場をお借りして感謝申し上げます.また,本書作成にあたり,多大なご協力を頂いた,医療科学社出版部の齋藤聖之氏に対して,心よりお礼申し上げます.

2011年9月吉日
小倉明夫