著者からのメセージ:核災害に対する放射線防護

 核兵器により攻撃を受けた唯一の国であるわが国は、原子力基本法のもとに、核兵器を開発せず、核技術の利用を平和目的に限定しています。しかし、ロシア、中国に続き、今世紀になり北朝鮮の核兵器開発宣言を受け、日本を取り巻く極東の脅威は確実に高まっています。また、国際テロリズムによる核兵器テロの可能性を無視できない状況にあります。

 本書の理論的な背景には、筆者の国内外の核被災地の線量を中心とした核ハザードの調査があります。それらを基礎とした実践放射線防護学の入門書です。北朝鮮が、地下実験の準備を進めていると米国が発表した2005年5月に書き下ろしました。内容は、各都道府県の危機対策室が取り組まれている武力攻撃事態に備える国民保護課題に合致しています。

 国民保護課題にかかわる担当者はもちろん、都市および周辺に暮らす国民、報道機関のために、本書は執筆されました。2時間で読めて、わかる内容となっています。なお、本書は「高田純の放射線防護学入門シリーズ」の一冊として出版され、今後も関連のトピックスを執筆・出版していきます。

札幌医科大学大学院医学研究科 放射線防護学 高田 純